【 被災地復興に係る児童生徒の活動事例 】
「支援者との交流からうまれた劇〜空色のカマキリ〜の取組」
宮城県石巻市立谷川小学校
1.活動の概要
(1) 紙芝居「空色のカマキリ」との出会い
本校は牡鹿半島のノ浦湾に面した地域にある学校である。
5つの浜を学区にもち,美しい入り江を見下ろす場所に学校は建っていた。
3月11日の東日本大震災の大津波により校舎が全壊した。幸いにも児童と教職員は裏山に避難して全員無事だった。
泊浜という浜以外の地域は壊滅的な彼害を受け、隣接した地区の大原小学校に間借りしての学習を余儀なくされたが、子どもたちは元気に1学期の生活を始めることができた。
そんな子どもたちを励まそうと,様々なボランティア団体が支援を行ったが、その中の一人に自作の大きな紙芝居による公演を全国各地で行っている「風の紙芝居師たけちゃん」がいた。
谷川小学校全校児童7名はたけちゃんの紙芝居「空色のカマキリ」を鑑賞し,たけちゃんと交流する活動を行う中で,「このお話を学習発表会で劇にしたいな」という声が児童の中からあがってきた。
(2) 劇作りの活動
「空色のカマキリ」を劇にするにあたって原作者のたけちゃんと連絡を取り合った。
その中で,たけちゃんの地元の長崎の大学生たちが、劇で使用するバック絵のための用紙や絵の具などを支援してくれた。
シナリオ作りの際には,児童の作品に対する思いを捨い上げて,教職員がオリジナルの脚本を作った。
教職員が劇中歌を2曲作り、ミュージカル仕立てにした。
また、校長がバック絵の下絵を描き,児童が彩色して仕上げた。小道具や衣装,効果音などもすべて児童と教職員で作るなど,手作りの劇に仕上がった。
学習発表会の当日は,原作者のたけちゃんも招待し,演技後にあいさつをしてもらった。
とても感激している様子だった。
谷川小の保護者だけでなく間借りしている大原小の地域の方々や仮設住宅に住んでいる方々からもすばらしかったとの声が聞かれた。
子どもたちの表情にも,精一杯やりとげたという充実感が表れていた。
2. 活動の成果
原作の「空色のカマキリ」のテーマである「共に生きる」「命の重さ」「個性の尊重」などが、震災後の児童の状況や思いとぴったり重なる部分が多く,子どもたちは自分たちの物語として劇作りに取り組むことができた。
取組の過程で,児童と様々な人々との関わりが生まれ、児童がたくさんの人々に支えられていることを実感できたことが大きな成果の一つである。
また,全校7名という少人数でも見る人を感動させるものを作り上げることができるという自信をもつことができたのも大きな成果である。
この劇作りの活動を通して,谷川小の子どもたち,教職員,地域の人々の絆がさらに強まったように思う。子どもたちの活動を支援してくださった方々に心から感謝したい。
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石巻市立 谷川小学校 の先生による、【 被災地復興に係る児童生徒の活動事例 】報告書。
全国各地から、劇『空色のカマキリ』の実現のために支援してくださった方のお便り等。
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谷川小学校 最後の「学習発表会」で、劇『空色のカマキリ』を実現するため、
長崎女子短期大学 幼児教育学科 永野卒研のみんなが、カンパを募ったり、
アルバイト代や、お小遣いで、絵の具や画材一式を購入して、送って下さいました。
空色☆サポーターから届いた、特大の画用紙!!
教育同人社様から提供いただいた、絵の具セット🎨
生徒一人ひとりに、校長先生から手渡されました😊
皆さまのご支援がありましたお陰で、紙芝居『空色のカマキリ』が、
【劇】となり、最後の学習発表会で元気よく発表をすることができました。
何より、大変困難な状況下(当時は、お隣の大原小学校の校舎を間借りしながら、1年間の学校生活を送りました。)で、歌や劇の練習をする時間も場所も物品も限られた中で、最後まで、しっかりとやり抜いた生徒と先生方に感謝いたします。
谷川小学校の皆様、ありがとうございました。
津波で全壊した宮城県石巻市の谷川小学校、記念室。